COPDとは
息切れや痰が続く、肺の病気
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の病気です。肺の気道や肺胞が炎症や損傷によって狭くなり、空気の通り道が塞がれてしまうことで、息切れや痰などの症状が現れます。
喫煙が主な原因と考えられており、世界中で多くの人が罹患しています。日本では、65歳以上の約8人に1人がCOPDと推定されています。
COPDの症状
COPDの主な症状は以下のとおりです。
- 息切れ
軽い運動や階段の上り下りなど、普段何気なく行っていた動作でも息切れを感じるようになります - 痰
無色透明や白色の痰が毎日出ます。 - 慢性咳嗽
咳が3週間以上続く状態です - 呼吸困難
息切れがひどくなり、会話や安静時にも呼吸が苦しくなることがあります。 - 呼吸音にゼイゼイという音が聞こえることがあります。
これらの症状は、初期には軽度な場合もありますが、進行すると日常生活に支障をきたすようになります。
COPDの原因
「タバコ病」ともいわれるように、ほぼ喫煙が原因で起こります。
受動喫煙もリスクになります。
タバコを長年吸い続けることで、肺の組織がこわれてスカスカになってしまいますが、最初のうちは自覚症状がありません。
そのため、気づかれないケースがとても多く、しっかりと治療を受けられている方は5%未満といわれています。
ゆっくりと進行して、重症になってくると、咳・たん、息切れといった症状が出てきます。
肺がこわれる = カラダに酸素が取りこめなくなる
ということなので、カラダの酸素濃度が下がり、動くと苦しくなってしまいます。
生活の質が下がってしまうだけでなく、命にも関わる疾患です。
また、肺がんを合併し、狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気のリスクも上がります。
予防が何よりも大切で、なるべく早くから禁煙をする以外にありません。喫煙以外にも、以下の要因がCOPDの発症リスクを高めることが分かっています。
・大気汚染:屋外の粉塵やガスなどの大気汚染物質を吸い込むことで、COPDを発症しやすくなります。
・職業性粉塵:職場環境で粉塵を吸い込む仕事をしている人は、COPDを発症しやすくなります。
・遺伝:遺伝的な要因も、COPDの発症リスクを高めることが分かっています。
COPDの種類
COPDは、大きく2種類に分類されます。
・慢性気管支炎:気道の炎症が主な原因で、息切れや痰などの症状が現れます。
・肺気腫:肺胞が破壊されることで、肺の弾力性が失われ、息切れや呼吸困難などの症状が現れます。
多くの場合、慢性気管支炎と肺気腫が混在して発症します。
COPDの治療法
COPDの治療には、以下の2つの方法があります。
・症状の改善:症状を改善するために、吸入薬や酸素療法などの治療を行います。
・進行の抑制:病気の進行を抑制するために、禁煙や生活習慣の改善などの治療を行います。
禁煙は、COPDの治療において最も重要です。喫煙を続けることは、病状を悪化させ、早死を招く可能性があります。当院では禁煙外来も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
また、インフルエンザや肺炎も、COPDの患者さまにとっては、危険な感染症になりますので予防接種を推奨します。当院でも行っております。
COPDは完治は難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールし、日常生活を送ることが可能です。
COPDに関する疑問や不安があれば、遠慮なく医療機関を受診しましょう。当院長は経験豊富な呼吸器内科専門医ですので安心してご相談ください。