脂質異常とは

最近は、テレビやインターネット広告などで「脂質異常」という言葉を目にされる機会も増えているかと思いますが、それでも糖尿病や高血圧に比べれば、まだまだ耳馴染みのない病名ではないかと思います。 脂質異常とは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の値が慢性的に高い状態、もしくはHDL(善玉)コレステロールの値が低い状態など続くことです。

一般的に適正値とは、LDLコレステロール値が140㎎/dl未満、HDLコレステロール値が40㎎/dl以上、中性脂肪が150㎎/dl未満です。この3つの数値のいずれかが逸脱すると脂質異常症になります。また、糖尿病や遺伝的疾患などの罹患状況により、より厳格なコントロールが必要となります。

脂質異常になっても、病状がかなり進行するまでは自覚症状があまり見られません。そのため、適切な治療を受けずに放置しておられる方も少なくないようです。しかし、血液中に含まれる脂質の濃度が異常値を示す状態が続くと、動脈硬化が進行したり、心筋梗塞や脳梗塞を発症する原因となります。

脂質異常の治療について

食事療法、運動療法、薬物療法が3本柱であり、やはり特に重要なのは食事療法です。食事の内容は、動物性の脂肪を減らして魚や植物性の油を摂取する、3食きちんと摂る、腹八分目にする、就寝前2時間は食べない、よく噛んで食べる、早食いは控える、塩分を減らす、お酒はほどほどに、清涼飲料水や菓子類は過剰摂取しない、などがポイントです。

また、適度に運動することも重要です。定期的に有酸素運動を行うと、中性脂肪が低下し、善玉コレステロール値は上昇します。散歩やウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などを1日に30分、これを毎日行うことが理想ですが、仕事などで難しい方も多いでしょうから、まずはできる範囲で始めることができるよう、ぜひ当院で一緒に相談しましょう。