睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる、または低呼吸状態になる病気です。無呼吸や低呼吸が続くことで、睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こすことがあります。放置すると高血圧や心疾患、脳卒中などのリスクが高まるため、早期の診断と治療が重要です
原因とリスク要因
SASの主な原因は、気道の閉塞によるもの(閉塞型)と、脳の呼吸中枢の異常によるもの(中枢型)の2つに分類されます。特に、日本では閉塞型が多く、以下の要因が関与すると考えられています。
●肥満:首周りに脂肪がつくと、気道が狭くなりやすい。
●顎の形状:小さな顎や後退した顎は気道を狭める可能性がある。
●加齢:年齢とともに筋力が低下し、気道が閉じやすくなる。
●鼻炎やアレルギー:鼻詰まりがあると気道が狭まり、呼吸がしにくくなる。
●アルコールや睡眠薬の使用:筋肉が弛緩し、気道閉塞が起こりやすくなる。
原因とリスク要因
AHI(無呼吸低呼吸指数)とは?
AHI(Apnea-Hypopnea Index)は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の重症度を評価するための指標の一つです。睡眠中に発生する 無呼吸(10秒以上の呼吸停止) と 低呼吸(呼吸が浅くなり酸素飽和度が3~4%以上低下する状態) の合計回数を、1時間あたりの平均回数 で示します。
AHIの基準と重症度分類
AHIの値が高いほど、SASの症状が重くなると判断されます。
AHIの基準と重症度分類
AHIの値 → 重症度分類
5未満 → 正常
5~15未満 → 軽症
15~30未満 → 中等症
30以上 → 重症
重症のSASの場合、日常生活への影響だけでなく、高血圧・心疾患・脳卒中などのリスクが上昇 するため、適切な治療が必要です。
AHIの測定方法
AHIは、睡眠検査(PSG検査または簡易検査) によって測定されます。
簡易検査(自宅で実施可能)
自宅で専用の機器を装着し、呼吸の状態や血中酸素濃度を記録します。主にスクリーニング目的で行われます。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)
当院の場合自宅で実施可能
脳波・心拍・筋電図・酸素飽和度などを詳細に測定し、AHIを正確に評価します。
治療法
CPAP療法について
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に広く用いられる治療法です。
CPAP療法とは?
CPAP療法は、専用の機器を使用して気道に持続的に空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ治療法です。睡眠時無呼吸症候群の患者様は、睡眠中に気道が塞がることで呼吸が一時的に停止するため、CPAPによって空気を送り込み気道を確保することで、安定した呼吸を保つことができます。
CPAP療法のメリット
● 無呼吸の改善:気道が確保されることで、睡眠中の無呼吸やいびきを軽減。
● 日中の眠気の軽減:睡眠の質が向上し、日中の眠気や集中力の低下を防ぐ。
● 高血圧・心疾患リスクの低減:無呼吸による血圧の上昇を防ぎ、心疾患・脳卒中のリスクを軽減。
● 倦怠感の改善:質の高い睡眠により、朝の目覚めがスッキリし、疲労感が軽減。
CPAPの使用方法
1.マスク装着:鼻または口に装着するマスクを選択し、適切なフィット感を確認。
2.機器の起動:CPAP装置をスイッチオンし、気道へ空気を送り込む。
3.毎晩使用:効果を最大限に得るため、毎晩使用することが推奨される。
CPAP療法の注意点
● 定期的なメンテナンス:フィルターやマスクの清掃・交換を適切に行う。
● 医師のフォローアップが必要:定期的に医師の診察を受け、適切な空気圧の調整や使用状況の確認を行う。
● 最初は違和感がある場合も:使用初期は慣れが必要ですが、徐々に適応できます。
CPAP療法を希望される方へ
当院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断およびCPAP療法の導入をサポートしています。治療をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
早期発見・治療の重要性
SASを放置すると、生活の質の低下だけでなく、心血管系の疾患リスクも高まります。いびきが大きい、日中の眠気が強いなどの症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。