禁煙外来とは

近年、禁煙の気運が非常に高まり、嫌煙ムードが強まる中、喫煙家の方々は肩身の狭い想いをされていると思います。
しかしながら、喫煙によるデメリットが広く知られるようになったことで、「体に悪いし、金銭的にも負担がかかる」からこの機会に禁煙したいと考えられる方も非常に増えております。

禁煙外来は、喫煙を習慣ではなく、ニコチン依存症という病気と捉えることで、医学の力によって禁煙達成を目指すものになります。特に、喫煙は心臓や血管に与える負担が大きく、生活習慣病とも密接に関連しておりますので、当院のような循環器専門医(心臓と血管の専門医)のいるクリニックで行うことで、将来的な健康リスクを大きく減らすことが可能となります。
尚、禁煙治療の有効性は十分に実証されており、2006年からは健康保険も適用されるようになっていますので、禁煙をお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。

喫煙による健康リスクについて

長年にわたり喫煙を続けると寿命が7年、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)の面では10年短くなると言われています。
喫煙は、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、肺癌や咽頭癌などの様々な癌やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の発症リスクを高めるとともに、不妊症や妊娠中の胎児発育障害、うつ病や認知症、歯周病の発症も増えることが分かってきております。
さらに受動喫煙による周囲の方々への健康被害も及ぼしますので、可能な限り一早く禁煙に取り組むことが重要となります

禁煙治療の対象となる方

  • ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断された方
  • 35歳以上の方で、ブリンクマン指数(1日に喫煙本数×喫煙年数)が200以上となる方
  • 直ちに禁煙を希望し、禁煙治療について説明を受け、文書で同意している方

禁煙外来で行う治療

標準的な禁煙治療としては、まず、初回診察にてご相談の上で開始日を決定し、初回診察から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の計4回、つまり12週間に渡り計5回の禁煙治療を行います。
禁煙外来では、禁煙補助薬として貼付薬であるニコチンパッチと、内服薬であるチャンピックスを使用致しますが、チャンピックスについては、2021年6月より出荷停止の状況が続いているため、ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)を処方致します。

ニコチンパッチについて

ニコチンパッチは、ニコチンを含んだ貼付薬で、放出されるニコチンが皮膚から緩徐に吸収されることで、禁煙時の離脱症状が緩和されます。
禁煙開始日から使用を開始し、8週間の使用期間を目安に、サイズの大きいものから小さいものに切り替えて使用していただきます。
毎朝1回、上腕部・腹部・腰背部などに貼付し、次の日の朝に貼り替えていただきます。その上で、不眠や皮膚炎等の副作用が強い場合には、就寝前にはがしたり、貼る場所を毎日変更するなどの対応を行います。また、妊娠中の方や授乳中の方、冠動脈疾患の急性期や治療直後の方などは使用することができませんので、まずは医師と十分にご相談ください

ニコチンパッチ